こんにちは、大石です。今日から生化学3では、遺伝子の範囲を勉強します。  まず、遺伝子とは何かっていう話から始めましょう。一般的にこの答えは、遺伝情報を持った物質と定義できるでしょう。ここで「遺伝とは何か」とか、そういう哲学めいた話は各自で考えてください。時間がないので、先に進みます。では、いったい遺伝子とはなんなのか、誰がやっているのかという話をします。  地球上の多細胞生物の遺伝子は、全て染色体という構造の中に存在します。ここでは、遺伝子=遺伝情報だと考えてください。そして、染色体というのはDNAが集まったものと定義されます。つまり、「染色体=DNA」ではなく「染色体=DNAの集合したもの」です。  ちなみに、遺伝子物質のことを核酸という場合もあります。これは、DNAがリン酸を含んでいるということが、DNAの存在の前にわかっていたことから付いた名前です。つまり昔の科学者は、DNAの存在自体知らなくても、「リン酸を持っている何か酸性の物質」が、遺伝に関わることには気づいていたのです。  ところで、「染色体―→遺伝情報をコードしている」という命題は正しいのですが、「遺伝情報をコードしている―→染色体である」という命題は常に真とは限りません。つまり、染色体以外にも遺伝情報を持っている分子もあるのです。それらは、プラスミドであったり、RNAであったりします。プラスミドは、染色体と同様DNAでできています。だから、染色体もプラスミドも持っているバクテリアなんかの場合、DNAを二種類持っていることになりますので、それらを区別するために「プラスミドDNA」「染色体DNA」などといったりします。  ではDNAとはどんなものなでしょうか。  ここからはDNAの構造の話なのですが、DNAはポリヌクレオチド鎖が2本くっついているものといわれています。ではポリヌクレオチドとはなにでしょうか。 大石「はい、そこの白いシャツ着たアトピーの君、何だと思う?」 生徒「ヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で重合したものです。」 大石「そうだね。じゃあうちの研究室の狐目の君、ヌクレオチドっていうのはなに?」 生徒「ペントース・リン酸・塩基が結合したものです」 大石「そうですね。いいでしょう。」  さっきも彼がいったように、ヌクレオチドというのは、ペントース・リン酸・塩基が結合したものです。順番にみていきましょう。  ペントースというのは、糖の仲間です。材料はグルコースでペントースリン酸経路からできるっていう話は生化学の1か2でやりましたね。ちょっと細かい話ですが、実はこのペントース、DNAとRNAとでは構造式が微妙に違うものが使われています。DNAの方は2'-デオキシ-D-リボース、RNAの方はD-リボースです。  また、塩基は、ヌクレオチドにアデニンとかチミンとかいう名前がついている所以になっているものです。2種類ありまして、それぞれプリン塩基、ピリミジン塩基という名前です。プリン塩基の中にアデニンとグアニン、ピリミジン塩基の中にその他の3種類が含まれています。構造は‥‥‥まぁいいでしょう。「似ている」というのと「二重結合を含んだ平べったい環状構造である」というのがわかれば。  これら3つが結合してヌクレオチドになります。またDNAの構造単位となるヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド、RNAの場合はリボヌクレオチドともいいます。このとき分子同士はそれぞれ所定の部位で結合していますが、もしこの結合の場所が変われば、たとえばcAMPのような別の物質になります。  ヌクレオチドが重合してポリヌクレオチドになるっていいました。このとき、骨格となるのは、リン酸とペントースです。言い換えると、ペントース=リン酸=ペントース=リン酸‥‥‥という共有結合をしているのであって、塩基は(ヌクレオチドを作るときにペントースと結合している以外)他の分子とは全く共有結合していないことになります。  つまり、「リン酸とペントースが連続して結合した骨格の中に、塩基が枝葉のように飛び出している」のがポリヌクレオチド一本鎖の様子です。  また、塩基は平べったいといいました。プリン塩基はややゆがんでいますが、それでも平べったいことには代わりありません。枝葉のようにでている塩基ですが、実は積み重なるようにして並んでいます。う〜ん、この辺のニュアンスわかるかなぁ。こういう感じね(大石先生、体の前ですり手のような格好をする)。  この塩基同士の積み重なりは、DNA分子にとっては非常に大きな意味を持つギミックです。なぜならこの塩基同士で相互作用が働いて、構造の安定化に作用するからです。一つ一つは本当に小さな力です。しかしこれが何万回も繰り返すわけですからね。馬鹿にはできません。  このポリヌクレオチド鎖からでている塩基は、官能基を色々持っています。HやO原子もありますので、それらの間で水素結合を形成します。ただ単に水素結合するのではなく、お互いに相手は決まっています。アデニンにはチミジンのように。またそのとき水素結合の本数も決まりますが、まぁこれはいいでしょう。  この水素結合は、いろいろなところででてきます。一本のポリヌクレオチド鎖の中でも起きるし、3本の鎖の間でもよく起きます。  DNAはこの水素結合が、二本のポリペプチド鎖の間で起きています。このペアになった鎖を二重鎖といいますが、DNAではこの二重鎖はらせん状になっており、二重らせん構造といわれています。  この二重らせん構造は、あくまでも水素結合からなるわけです。従って熱やpHの変化には非常に弱い性質を持っています。もっとも、二重らせん構造を安定に保つ力というのは、この塩基間の水素結合だけではありません。上述の、塩基同士の積み重なりによる分子間相互作用も関わっています。まぁそれでもやっぱり耐熱性とはほど遠いわけですが。  DNAが二重らせん構造をとるというのは、ワトソンとクリックが見つけました。彼らは「DNAは右巻きの二重らせん構造で、らせんの1周は10.5残基で高さ3.6nmである」と結論づけたのですが、実はDNAのらせん形式は、彼らの見つけたのも含めて3種類あり、中には左巻きのものもあります。  DNA二本鎖は熱に非常に弱いといいました。熱などによって解離して2本のポリヌクレオチド鎖になります。しかし完全に分かれたとしても、冷ましてやればまた元に戻ります。これをアニーリングといいます。  この元に戻る性質は「相方の鎖が完全に相補的だから」という大前提にたっています。もし相方が完全に相補的でなかったらどうなるのでしょうか。  答えは、「相補的なところだけくっつく」になります。従ってもし、別々の生物種からとってきた、非常に似通った塩基配列の2本のポリヌクレオチド鎖をアニーリングすれば、かなりの割合でくっつくことになります。たとえば、猿DNAとヒトDNAとのアニーリングは、マウスDNAとヒトDNAとのアニーリングよりも成功率は高いわけです。  こうしてできた、いわば混合DNAのことをハイブリッド二重鎖といいます。  ところで、DNAの長さというのは、染色体のそれに比べるとに非常に長いので、DNAから染色体になる際にはただ単純に集まってまとまるのではなく、様々な工夫を凝らして折り畳まなければいけません。  まず第1段階の折りたたみは、DNAがコイル上になったスーパーコイルでしょう。今やコードのある電話は滅多にみませんが、昔の電話では受話器と本体との間はコイル状のコードになっていました。このコードをDNA二本鎖だと仮定すると、スーパーコイルというのは、さらにこれをコード状、いわゆる「絡まっている状態」にしたものです。  このスーパーコイルはトポイソメラーゼという酵素によって触媒されます。  DNAの折りたたみということでは、これだけでは不十分であり、スーパーコイルでもっと小さく畳むには、ソレノイドスーパーコイルという形を取る必要があります。  さらに、ソレノイドスーパーコイルは、ヒストンというタンパクにからみつきより密度を濃くしています。このヒストンとDNAの複合体をヌクレオソームといいますが、さらにさらにこのヌクレオソームが集まり30nm線維というものができ、これがまたさらにさらにさらに集まって‥‥‥という風にして染色体ができあがります。  では今日はここまでにします。田中君、黒板消しといてね。  こんにちは。先週の続きです。  今日は、DNAの合成についてお話ししましょう。  先週もお話ししましたように、DNAというのは遺伝情報を担っています。というか、我々真核生物では遺伝情報を担っているものはDNAしかありません。そして個体の維持という点において、この遺伝情報の間違いというのは文字通り致命的です。従って、DNAの複製やその訂正は、非常に膨大な努力、言い換えるとATPを湯水のように使いおよそ効率的とはいえない方法で行われます。  今日はその辺を頭の片隅におきつつ、本題に入りましょう。  DNAの複製は、高校生物でもやったかと思うのですが、半保存的複製という機序で行い、それはMeselsonとStahlが証明しました。これはまぁ確認ということで。  で、このとき、1032ページの図を見てもらえば、「複製の一番最初は、ある特定の塩基配列(複製起点)で、相補的な水素結合をはずし複製フォークを作る」とあります。ところでちょっと考えてみてください。この図では環状二本鎖DNAです。しかし我々のように二本鎖が高度に折りたたまれた場合はどうなるのでしょう。1021ページの図を見てください。この中から特定の相補的水素結合をはずすなんて至難の業だと思いませんか?  つまり、単に「水素結合はずす」なんていいますが、実際にはもっと複雑なことをやっています。それが1043ページの図なのですが、これを簡単に説明すると次のようになります。  まず、DNAはある特定の部位から複製が開始されるといいましたが、その場所の近くに、あるタンパク質DnaAというのがくっつきます。これがATPとヒストン様タンパクHUとの助けを借りて、水素結合をえぃっとはずします。アニーリングのところでもはなしましたが、普通の状態では、水素結合ははずしてもすぐに元に戻ってしまいます。なので、DnaBとDnaCというもので加速をつけ、SSBという酵素を使って元に戻るのを防ぎます。  また、らせん状のDNAの一部をほどくと、それ以外のところはしわ寄せでよけいにねじる必要がでてきますが、それを修正するためにトポイソメラーゼという酵素が使われます。  このときの、複製が開始される場所を複製起点、二本鎖がはずされたところを複製フォークといいます。実際には、複製は二本鎖がはずされたと同時に開始されているわけですから、「複製フォークがDNA複製の最前線」ともいえます。  あぁそれから、上記のDnaAがどうのという機序は、別に覚えなくていいでしょう。はじめにはなした、「ある特定の塩基配列(複製起点)で相補的な水素結合をはずし複製フォークを作る」さえ覚えていれば。  複製フォークでほどけた鎖は鋳型になり、新しい鎖を作るべく、相補的なヌクレオチドがすぐに結合します。なのですが、一番はじめは、いきなりなにもないところにヌクレオチドが結合するわけではありません。  つまり複製の最初の最初、二本鎖が一本鎖になった瞬間、合成の開始地点には、プライマーという物質が作られます。そしてこのプライマーに、鋳型鎖と相補的なヌクレオチドが結合して、複製が開始されます。プライマーが複製起点にくっつくときの酵素はプライマーゼ、それにヌクレオチドをくっつける酵素をDNAポリメラーゼIIIといいます。名前が体を表すので覚えやすいですね。  プライマーができないと、せっかく一本鎖になっても複製が進まないのですが、それはこのDNAポリメラーゼIIIのせいです。この酵素の仕事は、あくまでもプライマーやヌクレオチド鎖にヌクレオチドをくっつけることだけです。  ちなみにプライマーというのは、ある種類のRNAです。なのでプライマーのことをRNAプライマーともいいます。  再び1032ページに戻って。そこにもあるように、複製起点で水素結合をはずすと、複製フォークっていうのは同時に2カ所にできます。それはわかりますよね。そしてこの複製フォークはお互いに対称の方向に動いていきますので、都合4カ所で複製は行われていることになります。つまりプライマーは、最低4つくっつきます。下の図の*と#印のところです。   ←複製フォークの移動方向→      /┬┬┬┬┬\ 5'┬┬┬┬*     #┬┬┬┬3' 3'┴┴┴┴#     *┴┴┴┴5'      \┴┴┴┴┴/     ↑複製フォーク↑ ┬┬┬ ┴┴┴は、複製がこれからなされるところ。 ┬┬┬は、水素結合がほどけて一本鎖になったところ。実際はすぐに複製が開始するので、いつまでもまったりと一本鎖の状態でいるわけではない。  実はDNAにしろRNAにしろ、鋳型鎖の読みとられる方向というのは決まっています。  すなわち、鋳型鎖の読みとられる方向は3'→5'で、もちろん合成鎖は5'→3'の方向で作られます。このときの5'→3'とか、3'→5'とかはややこしいので、図に書いて覚えておくといいでしょう。(編者注: 方向の説明は、教科書と先生とでは表現の仕方が微妙に変わります。言葉で覚えるのではなく図で覚えることをおすすめします)  この規則は、「遺伝子」とか「染色体」とかいう単語に絡む分野では全て適応しますが、例外は1つあります。mRNA→タンパクの転写の時なのですが、その話はまたあとで。  ところでいま、#印のところは、3'側が先に水素結合がはずされます。ところが、*印のところというのは、5'側が先にはずされます。鋳型鎖として読みとられる方向は、さっきもいったように3'→5'です。ということは、複製フォークでほどけた2本の鎖のうち、5'側が先にはずされる部分(#印のところ)というのは、正しい読みとり方向とは逆向きにほどけることになります。  この辺は、へたに口で説明するより、教科書の図を見てもらった方がわかりやすいかな。  1033ページをみてください。  「リーディング鎖」とかかれた方は、複製フォークの移動方向と合成方向が同じです。ところがその反対側の「ラギング鎖」とかかれた方は、フォークの移動方向と逆向きに読みとり、複製しなければいけません。このとき、この図を見れば、合成された鎖は細切れになっていることがわかります。この細切れの鎖を岡崎フラグメントといいます。  以上の話を元に、大腸菌の環状DNAの複製をまとめると以下のようになります。道具に関してはいくらでも細かくいえるので、中庸を心がけてください。 ・原理  らせん状のDNA二本鎖の水素結合を分離し複製フォークを作る。そこにプライマーをくっつける。複製フォークを移動し鎖を分離させながら、プライマーにデオキシリボヌクレオチドをくっつける。ラギング鎖側では、所々にプライマーを結合させ合成。岡崎フラグメントができた後、プライマーをDNAに置換し、隙間をふさぐ。 ・道具  {複製フォークを作るときに使うタンパク(DnaA・ATP・ヒストン様タンパクHU・DnaB・DnaC・SSB・DNAトポイソメラーゼII)と、それに関係する塩基配列(9bp4回反復・13bp3回反復)}  ヘリカーゼ  トポイソメラーゼII  プライモソーム  プライマーゼ  DNAポリメラーゼIII  DNAポリメラーゼI  DNAリガーゼ ・方法  複製フォークが生成する。  ヘリカーゼが、DNAに沿って移動しながら、ATPの化学結合エネルギーを使って鎖を分解する。 {リーディング鎖}  プライマーゼにより、複製起点にRNAプライマーが合成される。  DNAポリメラーゼIIIによって、プライマーにデオキシリボヌクレオチドを結合させる。またこの酵素で、そのできあがりつつある鎖に、デオキシリボヌクレオチドをくっつける。 {ラギング鎖}  5'→3'の方向に、フォークの動きと歩調を維持しながら、プライモソームが移動。時々プライマーゼに10〜60残基のRNAを合成させる。そのRNA(プライマーのこと)に、DNAポリメラーゼIIIの作用でDNA鎖が付加される。(このときプライモソームとDNAポリメラーゼ/プライマーゼとの移動方向が逆になっている!!)  岡崎フラグメントが完成すると、プライマーがDNAポリメラーゼI(の5'→3'エキソヌクレアーゼ活性)で除去、DNAに置換される。  そのときできた切れ目(ニック)はDNAリガーゼiでシール。  実際にはDNAポリメラーゼは二量体であり、ラギング鎖の鋳型がポリメラーゼにまとわりついてループを作っているので、リーディング鎖とラギング鎖の合成は共役しており、両方で歩調を合わせるようにして合成されている。  二つの複製フォークが開始位置の反対側で出会い、2つのDNAは分離。  上記の酵素たちは、必ずしも万能ではないので複製ミスを犯しますが、それらはいくつかある校正機能によって修復されます。  ただこの範囲は1999年の本試験に出しましたし、服部君のまとめが秀逸なので、それを参考にしてください。くれぐれも図を見ながら勉強することを忘れないでください。  他にも、組み換えだとかトランスポゾンの話もしたいのですが、時間がないので今日はこの辺にします。 ・DNAとRNAとの合成の違い  転写がプライマーを必要としない。その代わりプロモーターという配列が必要。  通常は、転写がDNAの短い領域だけに限定。  DNA二重鎖のうち、1本だけが鋳型として働く。 ・転写の開始 プロモーター(RNAポリメラーゼが結合する、DNA上の特異的配列。プロモーターは隣接したDNA領域の転写を指令。特にその中のコンセンサス配列) ・コンセンサス配列  DNA上のプロモーターの中にある、RNAポリメラーゼが結合する部位。かなり高い頻度で見いだされるある特定のヌクレオチド配列。  RNA合成が始まるbp(+1と表現される)の、-10bpと-35bp前にあり、 -10領域(プリブノウボックス)‥‥5'TATAAT -35領域‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5'TTGACA ・転写の終了....終結信号はρとρ非依存型 ρ非依存型:転写されたRNAの中で自分自身と相補的に水素結合できる部位があるので、RNA末端から中に15〜20bp付近でヘアピン構造を形成し、RNA-DNAハイブリッドを壊す。  鋳型鎖上にアデニル酸があり、RNAの末端にウリジル酸が転写される。この部分のハイブリッドは不安定なので、複合体を作りにくい。 ρ依存型 :鋳型鎖上にアデニル酸の反復配列を持たないが、ヘアピンを形成できる短い配列は存在する。RNAポリメラーゼはこの配列の位置で止まり、ρタンパク質が存在すると解離する。  ρタンパク質はATP依存性RNA-DNAヘリカーゼ活性を持ち、転写中に形成されているDNA-RNAハイブリッドを解離させる。 ・プロセッシング  イントロンは、一時転写物から切り出され、エクソンだけが成熟した機能できるRNAを形成するために連結する。  よってDNAと成熟RNAとでアニーリングしてハイブリッドを作っても、ループアウトするDNAがある。 ・グループIイントロンとグループIIイントロン  高エネルギー補助因子(ATPなど)を必要としない。  自己スプライシングを行い、タンパク質酵素が関与しない。 **1099.25-13 I型の反応は、グアニンヌクレオチド(グアノシン)の3'水酸基とイントロンの5'末端と3'.5'リン酸ジエステル結合を形成する。その結果遊離するエクソンの3'水酸基が、イントロンの3'末端を攻撃(3'側エクソンの5'末端と結合) ・イントロンの3つ目と4つ目  スプライシングの仕方はIIと同じ(ただし自己スプライシングはしない)。  小さな核RNA(ある種の真核生物RNAを含んでいる特殊なRNA-タンパク質複合体)を必要とする。 **1100.25-14 II型イントロンのスプライシングは、I型イントロンと似たような機序であるが、第1段階の求核基、2',5'リン酸ジエステル結合を持つ枝分かれした新しいラリアート(投げ縄状)中間体を持つ点が異なる。つまり、イントロン内の特定のアデノシンの2'OH基が求核基として働き、ラリアート構造を形成するように5'スプライシング部位を攻撃する。 ・真核生物mRNAでは、両末端でも修飾を受け、キャップと呼ばれる構造が5'末端に付加され、Poly(A)というアデニル酸を20〜250bp含むポリマー構造が3'末端に付加される。  5'キャップ......5'5'-三リン酸結合によって、7-メチルグアノシン残基が結合。 ある種のタンパク質と結合してリボソームへのmRNAの結合に関与して翻訳を開始?  ポリ(A)尾部...3'末端。ポリアデニアル化によってできた、20〜250アデニル酸残基からなるしっぽ。 **1104.25-18 {ポリ(A)尾部の付加} ・RNAポリメラーゼは、切断信号(5')AAUAAAを含むポリ(A)尾部が付加される位置よりももっと長くRNAを合成。 ・エンドヌクレアーゼ&ポリアデニル酸ポリメラーゼ複合体が信号領域に結合。  RNAがエンドヌクレアーゼで、(5')AAUAAAの3'側に11〜30bp移動した位置で切断。  ポリアデニル酸ポリメラーゼが、切断部位から数えて20〜250bpのポリ(A)尾部を合成。  ポリアデニル酸ポリメラーゼは、プライマーとして、mRNAを必要とする。